Commentaries on the Wargames

ゲームについてあれこれ書いていきます

【映画】ティーガー見たさにフューリーを見る

フューリーのDVDを購入して鑑賞しました。

元々本物のティーガーが出ている映画だというのは知ってはいたのですが「どうせブラッドピットが格好良いだけの映画だろう」と思っていた。(いやまあ実際に格好良いのは事実ではあるが)

米軍目線の映画であることは容易に想像できたので中々食指が動かなかったのですが、近年洋画DVDの販売スペースが少しずつ狭まってきている気がしてきたので意を決して購入したものです。

 

映画としては世界で唯一稼働可能なティーガーIが茂みから出て来て米軍戦車と撃ち合いするシーンでは画面にずっと視線が引き込まれていた。(FE封印の剣をプレイしながら見ていたのだが)

まあシーンこそ見たくて買って来たのですが…

なぜか対戦車砲すら物ともしない米軍のM4シャーマンイージーエイト4両相手に戦うティーガーはまさに圧巻。

その他戦闘シーンは曳光弾がバリバリに光っているのでちょっと近未来感すらあるのだが、実際には曳光弾自体は第1次世界大戦時から使われていたというのを後で調べて知った。

最終的には履帯を損傷した戦車1両と乗組員5人で300人の武装SS部隊に立ち向かっていく。

しかし最後のほうのシーンでは「あれだけ抵抗した戦車なんだから車体下部なんかもっとちゃんと確認するだろう」とか「相手も大勢殺されてるんだからノーマンを見逃すのはおかしいんじゃないか」とか思ってしまいました。

映画冒頭で登場した頃のノーマンみたいな感じの兵士が相手側にもいたよ、という描写なのかもしれませんが……武装SSの残虐性や士気の高さは作中でも分かりやすく演出されていたし、ダンからも投降したら地獄を見る的なことも言われる。その後にSS兵士によって見逃されるという展開は少し違和感を覚えてしまったのは否めない。

ノーマンが生き残るという脚本的整合性を取るためだけの展開に思えてしまった。まだサッと確認しただけで気付かれなかった、という流れのほうが私個人的には受け入れられたかもしれない。

もしくはあのままノーマンが戦車の下から引きずり出されて「前進するため捕虜を取れない」と放置され、しばらくして友軍に回収される展開でも良かったのかもしれない。

まあどうであるにせよ映画での流れはあまりにも不自然な脚本ありきな展開だったと思わざるを得ない。ただ全滅というバッドエンドな展開には出来ないという葛藤は感じられたのだが…

 

中盤辺りまで新兵のノーマンに対して幾度と繰り返される新兵いじめのシーンは見るに堪えます。しまいには現地の民間人相手にまでそれをやり出し、女性が食べようとした目玉焼きを仲間の1人が舐めてブラピ演じるドン(彼にも新兵いじめっぽいことをやるシーンはあるものの)が取り替えてあげたシーンでは徐々に株を上げつつあるドンに対し「本当にブラピが格好良いだけの映画なのではないか」と思ってしまっていた。

そんな仲間たちも最後の戦闘前には「本当はそんなに悪いやつらじゃないんだよ」的なフラグをちゃんと立ててから戦死する。

まあ実際にドン(ブラピ)とノイマン(新兵)以外の仲間が迷惑をかけまくった現地の女性宅が砲撃を受け家が崩壊し、取り乱して駆け寄ろうとしたノイマンを仲間の1人が殴ったりすることもなくノイマンを静止させるシーンを見るに、仲間たちも粗暴な振る舞いがあるというだけで仲間を思いやるだけの心は持ち合わせているようでした。

一応彼らを弁護するなら、ドンとノイマンが他の仲間に知らせずに(私にはそう見えた)民間人の女性と食事の用意をしたり髭を剃ったり休んでいた流れがあったのでそれが気に入らなかったりもしたかもしれません。それに上機嫌に家に入って来た様子から酔っていたっぽくもありました。

最終的には昔話(Dデイからファレーズ・ポケットまでの激戦)をつらつらと喋り始めるとドンが激怒して机をバンと叩きつけ、全員(女性も含めて)がしんと静まり返る。

軍服を着ていなければ先生に怒られた生徒みたいな感じになるのですが、その直後に上記の女性宅が砲撃を受けるシーンに…

 

生の本物のティーガーが動いているだけでも大興奮の映画ではあった。しかも短時間で米軍の戦車3両を撃破するという活躍も見せる。

全体の時間で言うと出番そのものはそこまで長くなかったのは惜しまれる。

見終わっての感想としては「ティーガーとブラピがちゃんと格好良い映画」だと言えるだろう。なんだかんだ仲間たちにも見せ場はあるし、戦車も格好良いし概ね大満足です。

またティーガー以外だと個人的に好きなシーンはSSの擲弾兵が「親衛隊は敵地を進む」を歌いながら行進してるシーンだった。

バルジ大作戦でも(行進とは少し違うが)戦車兵たちが並んでパンツァー・リートを歌ったり、戦車が横隊で移動するシーンが本当にたまらなく好きだった。

どちらも連合軍側主体の作品ではあるのだが結局ドイツ軍中心に見てしまっていた。

 

今ではもっと早くフューリーを見ておくべきだったと少しだけ後悔しているのだが、実際に見た日が私の誕生日の前日だったので(そういうのもきっかけではあったのだけど)そういう意味では自分へのプレゼント的な感じにはなったかもしれない。